有酸素運動と筋トレ、ダイエットで痩せるのはどっち?研究データでわかる効果の違いと、女性におすすめの順番・組み合わせ方【トレーナー解説】
「ダイエットには、有酸素運動と筋トレのどっちがいいの?」「先にやるのはどっち?」
体験にいらっしゃる方から、本当によくいただく質問です。ネットでは「脂肪を燃やすなら有酸素」「いや、筋トレが先」と意見が割れていて、迷ってしまいますよね。
こんにちは。渋谷・東高円寺・池袋で「食べて綺麗に痩せる」を指導している、パーソナルジムARISANFIT代表トレーナーの小河原です。当ジムは筋トレを中心に指導していますが、この記事では研究データが示すことを、都合の悪い部分も含めて正直にまとめます。
結論
体重や体脂肪の数字を減らす効率は有酸素のほうが上。筋肉を増やす・守る力は筋トレだけが持っています。どちらか一方より、組み合わせがおすすめです。
- 座りがちな過体重・肥満の成人119人を8か月追った研究では、体重・脂肪量は有酸素のほうが筋トレより大きく減少。一方、除脂肪量(筋肉など)は筋トレのほうが有酸素より大きく増加しました(Willis 2012)
- 食事で体重を落とすとき、運動を加えると筋肉の減少が小さくなります(Villareal 2017、Weinheimer 2010)
- 順番は、体脂肪の減りに大きな差は見られませんでした。迷ったら筋トレ→有酸素でOKです(Eddens 2018)
- 国の目安は、筋トレ週2〜3日と身体活動1日60分以上。運動だけでは減量はゆるやかなので、食事の見直しが前提です
研究の答え|痩せる効率は有酸素、筋肉は筋トレ
有酸素と筋トレを同じ条件で比べた代表的な研究が、米国で行われたSTRRIDE AT/RTです。座りがちで過体重・肥満の成人119人を、筋トレのみ(RT)・有酸素のみ(AT)・併用(AT/RT)の3群に無作為に分け、8か月間運動してもらいました(Willis LH ほか, J Appl Physiol 2012)。
出典:Willis LH et al. J Appl Physiol 2012(アブストラクトの記載をもとに整理。各群の体重・脂肪量の具体的な変化量は、アブストラクトには示されていません)。
著者らの結論は、「時間と効果のバランスを考えると、脂肪量・体重を減らすには有酸素が最適。筋肉量を増やすには筋トレを含むプログラムが必要」というものでした。併用群は有酸素のみの約2倍の時間をかけましたが、脂肪や体重の減少は有酸素のみと有意な差がありませんでした。
正直にお伝えします
「筋トレをすれば、有酸素より脂肪が減る」とは、この研究では言えません。体重・体脂肪の数字を減らすだけなら、有酸素のほうが効率的です。ただし、この研究の参加者は中年の過体重・肥満の成人です。若い女性や、食事を整えた場合にそのまま当てはまるとは限りません。
筋トレが必要な理由|食事で減らすとき、筋肉を守る
では、なぜ筋トレをおすすめするのか。体重を減らすとき、脂肪だけでなく筋肉も一緒に落ちてしまうからです。
肥満の高齢者160人を、食事で減量しながら「有酸素のみ・筋トレのみ・併用・運動なし」の4群に分けて6か月追ったNEJMの研究(Villareal DT ほか, 2017)では、除脂肪量の減り方に差が出ました。
減量中の除脂肪量の減少率(6か月)
出典:Villareal DT et al. N Engl J Med 2017(対象は肥満の高齢者160人。有酸素のみ55.0→52.3kg、併用56.5→54.8kg、筋トレのみ58.1→57.1kg)。若い女性に同じ数字が当てはまるとは限りません。
この研究では、筋トレを加えた群で除脂肪量の減りが小さく、併用群は身体機能の改善も最も大きくなりました。また、50歳以上の肥満ぎみの成人を対象にした52件の研究のまとめでも、食事制限だけの群の81%が、減った体重の15%以上を除脂肪体重として失っていたのに対し、運動を組み合わせた群では39%でした(Weinheimer EM ほか, Nutrition Reviews 2010)。レビュー論文でも、減量中は有酸素・筋トレのどちらも筋肉の維持に役立ち、筋トレは筋力も高めると整理されています(Cava E ほか, Advances in Nutrition 2017)。
トレーナーの視点|「体重」ではなく「見た目」を変えたい方へ
体重の数字だけなら、有酸素でも減らせます。でも、筋肉が減ると、同じ体重でもたるんで見えやすく、基礎代謝も下がります。「痩せたのに、なんだか貧相」「すぐ戻る」を避けたい方は、食事で減らしながら筋トレで筋肉を守る、というのが当ジムの考え方です。体重の見方は体重が減らないのに見た目が痩せた理由もご覧ください。
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どっちが先?順番を調べた研究
「筋トレと有酸素を同じ日にやるなら、どっちが先?」にも、研究があります。同じ日の運動の順番を比べた10件の研究をまとめた分析(Eddens L ほか, Sports Medicine 2018)では、次のような結果でした。
出典:Eddens L, van Someren K, Howatson G. Sports Med 2018(10研究。対象者の平均年齢は31±16歳。長期(5週間以上)の同時トレーニングが対象)。
つまり、脂肪の減り方は、順番では変わりませんでした。差が出たのは下半身の筋力で、筋トレを先にするほうが有利でした。そのため、当ジムでは「筋トレ→有酸素」をおすすめしています。疲れていない状態のほうが、重さやフォームを保ちやすいためです。ただし順番より、続けられることのほうが大切です。
運動しても痩せない人がいる理由
「たくさん運動しているのに痩せない」という方も、実は多くいます。運動による減量が思ったより小さい理由を調べたレビュー(Thomas DM ほか, Obesity Reviews 2012)は、運動介入での体重減少が小さいのは、運動で消費するエネルギー量がそもそも小さいことに加えて、摂取カロリーが増えることが主な理由だと結論づけています。
実際に、過体重・肥満の成人35人が12週間、週5回の監督下運動をした研究(King NA ほか, International Journal of Obesity 2008)では、平均の体重減少は3.7kgでしたが、個人差は−14.7kg〜+1.7kgと大きく開きました。予測どおり痩せた人(平均−6.3kg)は摂取量が1日約130kcal減っていたのに対し、あまり痩せなかった人(平均−1.5kg)は摂取量が1日約268kcal増え、空腹感も強まっていました。
トレーナーの視点|運動の日ほど「食事を決めておく」
運動すると、無意識に「ごほうび」で食べてしまうことがあります。運動の日の食事(特に運動後のおやつ)を先に決めておくのが、いちばん効きます。1日に必要なエネルギーの目安は1日の摂取カロリーの目安で、歩いて消費できる量の現実はウォーキングダイエットの効果で解説しています。
女性におすすめの1週間の組み合わせ例
国の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」(厚生労働省)は、成人に対して、歩行など3メッツ以上の身体活動を1日60分以上、息が弾み汗をかく程度の運動を週60分以上、筋力トレーニングを週2〜3日としています。この目安を、運動初心者の女性向けに1週間へ落とし込むと、たとえば次のようになります(当ジムの組み立て例で、国の目安そのものではありません)。
筋トレ・有酸素ともに、最初から完璧を目指さないのがコツです。まず「週2回の筋トレ」を習慣にして、そこへ歩く時間を足していくほうが、続けやすいです。女性が筋トレをしてもムキムキにならない理由は女性が筋トレすると太くなるって本当?で解説しています。
こんな方は、運動を始める前に医師に相談してください
- 心臓・血圧・糖尿病などの持病がある方、薬を飲んでいる方
- 膝・腰などに痛みがある方
- 運動中に胸の痛み・息苦しさ・めまいが出る方
- 妊娠中・産後すぐの方
よくある質問
Q. ダイエットには有酸素運動と筋トレ、どっちがいいですか?
A. 体重・脂肪量を減らす効率は有酸素のほうが上、筋肉を増やすには筋トレが必要です。座りがちな過体重・肥満の成人119人を8か月追った研究では、有酸素が筋トレより体重・脂肪量を大きく減らし、筋トレは有酸素より除脂肪量を大きく増やしました(Willis ほか, 2012)。食事で減量する際に筋肉を守る意味でも、両方を組み合わせるのがおすすめです。
Q. 有酸素と筋トレ、先にやるのはどっちですか?
A. 同じ日にやる場合、体脂肪率と筋肥大には順番による差が見られませんでした。下半身の筋力は筋トレを先にしたほうが有利でした(Eddens ほか, 2018)。迷ったら筋トレ→有酸素がおすすめです。
Q. 筋トレと有酸素を併用すると、有酸素だけより痩せますか?
A. STRRIDE AT/RTでは、併用は有酸素のみの約2倍の時間をかけましたが、体重・脂肪量の減少は有酸素のみと有意な差がありませんでした。一方で、除脂肪量は併用のほうが有酸素のみより大きく増えました。数字だけでなく、体の中身(筋肉)も含めて整えたい方に併用がおすすめです。
Q. 筋トレを始めたら体重が増えました。失敗ですか?
A. 失敗とは限りません。筋トレで除脂肪量が増えると、体重の数字は減りにくくなることがあります。体重だけでなく、ウエストや見た目、写真で変化を確認してください。
Q. 運動したのに食べすぎてしまいます。どうすればいいですか?
A. 運動による減量が小さい主な理由として、運動で使うエネルギーが小さいことと、摂取カロリーが増えることが挙げられています(Thomas ほか, 2012)。運動の日の食事やおやつを先に決めておくのがおすすめです。
Q. 週に何回、運動すればいいですか?
A. 国のガイド(厚生労働省、2023年)では、成人の目安は、歩行など3メッツ以上の身体活動を1日60分以上、息が弾み汗をかく程度の運動を週60分以上、筋力トレーニングを週2〜3日です。まずは週2回の筋トレと、日常の歩く時間を増やすところから始めてください。
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参考情報について
Willis LH et al. J Appl Physiol 2012(STRRIDE AT/RT)/Eddens L et al. Sports Med 2018/Villareal DT et al. N Engl J Med 2017/Weinheimer EM et al. Nutr Rev 2010/Cava E et al. Adv Nutr 2017/Thomas DM et al. Obes Rev 2012/King NA et al. Int J Obes 2008。
厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」(成人の推奨事項、2026年10月7日確認)。
研究の対象者(年齢・体格・運動内容)は論文ごとに異なり、結果はそのまま全員に当てはまるものではありません。
厚生労働省 身体活動・運動ガイド2023 概要版(PDF)
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